こんにちは、パンゲアです。プライスチェッカー(Chrome拡張)の開発・運営をしている、大阪市在住の元 Web エンジニアです。
今日は珍しく開発者本人視点で、「なんで自分でこんな拡張機能を作ろうと思ったのか」を書きます。結論から言うと、家族の買い物で何度も派手に失敗して、その失敗から学んだのが開発の出発点です。今日は誕生に至るまでの私の3つの大失敗を、正直に並べます。
失敗1: 妻のホットクック、Amazon で即決して10,000円損した夜
開発前、年末の妻が「ふるさと納税枠が余ってるからホットクック買いたい」と言い出した日のこと。
候補機種はホットクックの上位モデル(KN-HW24G)。妻に「Amazon で見たら42,000円やったから買っていい?」と聞かれて、私は「いいよ、Amazon が一番安いやろ」と即答しました。確認すらせずに。
翌週、メルカリを眺めていた長男から「父さん、これメルカリで未使用品が38,500円で出てるで?」と。慌てて確認すると、楽天市場のスーパーセール期間中だったため、SPU + 買い回り 7店舗 + ショップ独自ポイントで実質約32,300円まで落ちていた。
差額約10,000円。家族4人で誕生日の外食2回分の金額です。妻に「もう価格比較ちゃんとして」と冷たい目で言われ、エンジニアとして恥ずかしさで眠れない夜を過ごしました。
失敗2: 長男のゲーミングマウス、自分の拡張機能を OFF にしていた事件
これはプライスチェッカーの初版をリリースした直後の話。長男に「ロジクールのゲーミングマウス欲しい」と言われ、私は意気揚々と Amazon で15,800円のものを購入しました。
翌日、長男に 「父さん、それヨドバシで実質12,500円やったで?」 と。慌てて確認したら、ヨドバシ10%還元込み実質12,500円、楽天 SPU 込み実質13,200円、メルカリ未使用品12,800円。Amazon が一番高かった。
なぜ確認せず買ったかというと、その日プライスチェッカーの開発で別機能テスト中、自分の拡張機能を OFF にしていたから。「靴屋の子は裸足」を地で行った話です。
差額約3,300円。長男には今も時々言われます。「父さんプライスチェッカー作ってるのに、自分で使わへんと負けるんやな」と。自分で作っているツールすら使い忘れる、という人間の習慣の弱さを思い知らされた事件でした。
失敗3: 家族の買い物リクエスト、タブ20枚開いて1時間溶かした年末
ホットクック事件の後、私は妻に「これからは全部比較する」と宣言しました。年末、妻が「ふるさと納税枠で家電をもう1個買いたい」と言い出した日のこと。
候補は炊飯器。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ヨドバシ、ビックカメラ、エディオン、ヤマダ電機、ケーズデンキ、メルカリ、価格.com で10枚のタブ。型番違いと色違いも含めると、最終的に20枚のタブを開いていました。
それぞれの商品ページでポイント還元率を計算し、送料を確認し、配送日をチェックする作業に約1時間。Chrome がモッサリ重くなる頃には、妻の機嫌も急降下。「結局どこで買えばいいの?」と聞かれた瞬間、私の脳はフリーズしました。
「これは私の作業時間が単純に足りない」という結論が出た夜、「ブラウザが勝手に比較してくれたらええのに」と独り言が漏れました。これがプライスチェッカー開発のトリガーです。
教訓
3つの失敗を並べて見ると、共通する根本原因が浮かび上がります。
1. 「Amazon が一番安い」という思い込みは家計の敵:ホットクックで10,000円、ゲーミングマウスで3,300円、毎回数千〜数万円の取りこぼし。実質価格を機械的に比較する習慣が必要。
2. 人間は自分の習慣を維持できない:自分で作っている拡張機能すら ON にし忘れる。「商品ページを開けば自動で動く」設計でない限り、習慣は続かない。
3. 比較に1時間かける家計は持続しない:家族の買い物は週単位で発生する。1件あたり数秒で完結する自動化でない限り、比較行動は途中で破綻する。
いま私がやっている対策
3つの失敗から、プライスチェッカーの設計思想と私自身の運用ルールが固まりました。
対策1:商品ページを開いた瞬間に自動起動
開発初日の落書きメモはこんな感じでした。
- Chrome拡張、Manifest V3
- content script で商品ページのタイトルを取得
- background で他サイトを並列検索
- 結果をサイドパネルに並べる
- ポイント還元計算ロジック必須「ボタンを押す」「メニューを開く」といったユーザーの追加アクションを一切要求しない設計。商品ページを開いた瞬間に、26サイトの実質価格が表示される。これが「人間は習慣を維持できない」という教訓への対策です。
対策2:実質価格(ポイント還元込み)を必ず併記
楽天で5,000円 vs ヨドバシで4,800円、表示価格と実質価格が逆転することが頻繁にある。プライスチェッカーは実質価格を計算して併記することで、「Amazon が一番安い」という思い込みを機械的に崩す設計にしてあります。
ホットクック事件で10,000円を取り逃がした失敗が、この機能の起点です。
対策3:セールティッカーで「3日待つべきか」を5秒で判断
楽天スーパーセール、お買い物マラソン、5のつく日、感謝デー、超PayPay祭、Amazon プライムデー、ブラックフライデー。これらのセール開催情報を赤い点滅ドット(開催中)と黄色ドット(開催予定、最大7日前から)で告知する機能を、最後に作りました。
ホットクック事件のあと、「3日後に楽天スーパーセールが始まる」ことを事前に知っていれば10,000円取り逃がさなかった。この機能はその反省から生まれました。
対策4:自分の拡張機能を ON にしていることを毎朝確認
長男のゲーミングマウス事件のあと、私の朝の儀式に「プライスチェッカーが ON になっているか確認」が入りました。リビング PC の起動時、ツールバーのアイコンを見て点灯確認。
これは設計で完全に防げない人間側の失敗で、「自分で作っているツールこそ自分で使わないと意味がない」という教訓です。
対策5:家族の買い物リクエストは PC で受ける
妻が「これ買いたい」と言ったら、必ずリビング PC で対応する。スマホで衝動買いを誘発される前に、PC で26サイトの実質価格を一望する1ステップを挟む。
タブ20枚問題は、26サイトを1画面で並列表示する拡張機能で完全に解消できました。1件あたり数秒で完結し、家族の買い物が破綻しない。これが当初目指した世界です。
まとめ
プライスチェッカーを作ったきっかけは、家族の買い物で私自身が3回派手に失敗したからです。副業のためでも、ユーザーのためでもなく、純粋に「我が家の買い物の失敗を二度と繰り返したくなかった」が原点。
「無料で、軽く、サイトの規約を守り、家族の買い物を楽にする」が、3つの失敗から導き出された開発の原則です。これから先も、家族で買い物に困ることのない仕組みを淡々と作り続けます。
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著者プロフィール
パンゲア — Price Checker(Chrome拡張)開発者・USJ年パス勢パパブロガー。大阪市在住、高校生兄弟2人と妻の4人家族。Web エンジニアから独立し、ECサイト横断の価格比較拡張を運営しています。
- ブログ: price-checker.jp
- Chrome拡張「プライスチェッカー」: Chromeウェブストアで見る
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